糖尿病について

糖尿病のイメージ写真

健康な人の場合、血液中のブドウ糖がうまく全身の細胞内に送り届けられ、エネルギー源として利用されます。
食事によって必要以上の栄養分を摂取したときでも、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きによって、血液中のブドウ糖の量(血糖値)が過剰にならないよう、バランスをとることが出来るのです。

ところが、何らかの要因によって十分な量のインスリンが産生されなくなったり、産生されても適切に機能しなくなってしまうことがあります。
その結果、血管内にブドウ糖が慢性的に過剰となる疾患が糖尿病です。

血糖値とは

糖尿病は血糖値が慢性的に高くなってしまう疾患です。
従って、糖尿病を検査する際には、血液中に含まれるブドウ糖の濃度を調べます。

もっとも、この血糖値は食後には上がりますし、食事をとらないでいると徐々に低下していきます。
すなわち、どの時点で検査するのかによって、数値は異なってくるのです。

そのため、幾つかの検査方法があるのですが、地方自治体や企業、団体などの健康診断でよく取り入れられているのが「早朝空腹時血糖検査」と、「ヘモグロビンA1c」です。
前者は、検査当日の朝食を抜いた空腹の状態で採血し、この血糖値(空腹時血糖値)を測定するのです。
この値が126㎎/dl以上の場合、「糖尿病型」と診断されます。

後者は、血液中に含まれる糖化ヘモグロビンの量を基準として判断する検査方法です。
血液検査で採取した全てのヘモグロビンのうち、何%が糖化ヘモグロビンなのかを測定することにより、過去1~2か月の血液中のブドウ糖の濃度を推定することが出来るのです。
この値が6.5%(国際標準値)以上の場合が「糖尿病型」となります。

この早朝空腹時血糖検査とヘモグロビンA1cの両方で「糖尿病型」の範疇に入った場合、その方は糖尿病だと診断されます。
なお、この他にも様々な基準があります。詳しくは担当の医師までご相談ください。

このような症状の方はご相談を

  • 健康診断などで「血糖値が高い」と指摘された
  • 喉がよく渇く、水をよく飲む
  • 尿の回数が増えた、尿のにおいが気になる
  • 体重が急激に増加、または減少した
  • 最近、疲れやすくなった
  • 満腹感が得られない(いくらでも食べられる)
  • 手足がしびれる
  • 足がむくむ
  • 皮膚が乾燥して痒い、皮膚に出来物ができやすくなった
  • やけどや怪我をしても、あまり痛みを感じない
  • 切り傷やその他の皮膚の傷が治りにくい
  • 視力が落ちてきた、目がかすむ
  • 意識が混濁することがある

など

糖尿病の種類

  • 1型糖尿病
  • 2型糖尿病
  • 遺伝子異常によるもの
  • 内分泌疾患や感染症などによるもの
  • 妊娠糖尿病

1型糖尿病

インスリンを産生する膵臓の細胞(膵β細胞)が主に自己免疫によって本来の機能を失っていき、十分な量のインスリンが分泌されなくなるタイプの糖尿病です。
特に若年層で発症するケースが多いのですが、成人期に発症することもあります。

1型の治療にあたっては、適正な量のインスリンを補充することが重要です。
これによって血糖値をコントロール出来たならば、発症前と同様の生活を送ることもできます。
また、膵臓移植や再生医療、遺伝子治療などによって解決を目指すことも検討されます。

2型糖尿病

食べ過ぎや運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣、遺伝的要因、加齢などによってインスリン働きが低下し、血糖値が高くなる糖尿病です。
日本の糖尿病患者の9割以上、成人発症のほとんどがこのタイプです。
以前は中高齢者の罹患者が中心でしたが、最近は若年層でも2型糖尿病の方が増えており、社会問題となっています。

健常な人ならば、インスリンが正常に働き、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込んでエネルギー源にしたり、脂肪やグリコーゲンに変えて筋肉や肝臓に貯蔵したりすることができます。
しかし、運動不足や食べ過ぎで肥満になると、インスリンが機能しなくなり、ブドウ糖をうまく筋肉などに送り届けることができなくなるのです。

糖尿病が発現してしまうと、現在の医学では完治させることは出来ません。
しかし、糖尿病そのものは治せなくても、血糖値を正常に保ち、生活習慣を見直すことによって糖尿病の合併症リスクを軽減することは十分に可能です。

血糖値を適正に近づけるには、血糖コントロールを継続して行っていくことが重要です。
かかりつけ医の指導のもと、まずは食事療法と運動療法を並行して行います。
これによって改善が見られないときは、内服薬による薬物療法などを取り入れます。